使用していない空き家は、管理に手間や費用がかかるばかりです。
そんな時は売却して手放すこともできますが、賃貸に出して収益を上げる方法もあります。
空き家で内装が傷んでいる場合、賃貸に出す前にリフォームすることを考えるでしょう。
でも、「DIY型賃貸借」という契約形態にすれば、リフォーム代が浮かせられるかもしれません。
DIY型賃貸借とは、どういった契約なのでしょうか?
また、どのようなメリットがあるのでしょう? ご紹介していきます。
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DIY型賃貸借のメリット
「DIY型賃貸借」とは、借主が物件に改修を加えることのできる賃貸借契約です。
通常の賃貸借契約には原状回復義務が付されており、借主は物件に改修を加えることが許されていません。
賃貸物件に勝手に棚をつけたり壁紙を張り替えたりすると、退去時に管理会社から原状回復工事の費用を請求されてしまいます。
しかしDIY型賃貸借であれば、契約に定められた範囲内であれば借主が好みに合わせて改修を加えることができます。
賃貸住宅の差別化の手法として定着しつつあることから、2016年4月、国土交通省では「DIY型賃貸借に関する契約書式例とガイドブック」を公表しました。
借主側のメリット
- 自分好みにリフォームできる
- 家賃が安いことが多い
- 退去時の原状回復義務がない
DIY型賃貸借は借主にも貸主にもメリットのある契約形態です。
まず借主にとっては、自分の好みに部屋を借りられるという点が大きいでしょう。
壁紙やクッションフロアなど、部屋の一角だけでも自分で決めたデザインがあると愛着が湧きやすくなります。
DIY型賃貸借の物件は古いことが多く、通常よりも安い家賃で借りられる物件が多いという点も魅力ですね。
退去時の原状回復義務がないので、安心して自分好みにカスタマイズできます。
貸主側のメリット
- 現状のまま貸し出せる
- 他の物件との差別化ができる
- リフォーム費用の負担がかからない
- 借主に愛着が湧き、長期入居につながりやすい
- リフォームされることにより、物件がバリューアップする可能性がある
賃貸物件のリフォームで怖いのは、費用をかけたのに借主が見つからないという事態です。
DIY型賃貸借なら借主が改修してくれるので、リフォーム代の持ち出しがありません。
他の物件と差別化できるため、借主が見つかりやすくなることも。
通常なら借主がつきにくいリフォームしていない物件であっても、そのまま貸し出せるのです。
長期入居にならなかったとしても、入居者が部屋をリフォームしてくれていればその分のリフォーム費用は節約できます。
貸主側にとっても、DIY型賃貸借はメリットが大きいといえるでしょう。
トラブルを防ぐポイント
さまざまなメリットのあるDIY型賃貸借ですが、場合によってはトラブルを招くことも。
トラブルを防ぐためには、借主と貸主の間に十分なコミュニケーションが必要です。
また、次のようなポイントを意識しましょう。
工事可能な範囲を明確に
間取りを変更する工事などの大規模なリフォームを行うと、建物の構造躯体を傷つける可能性があります。
柱や壁を抜くと耐震性が弱くなったり、耐久性が落ちたりする原因となるかもしれません。
そのような事態を防ぐため、契約内容の中で工事可能な範囲を明確にしておきましょう。
抜いてよい壁とそうでない壁を明確にしたり、壁紙やフローリングなどの内装材交換に限ったり。
国土交通省のガイドラインでは、「借主が希望する改修内容等を貸主に申請し、貸主が承諾の上、合意書を取り交わす方式」が推奨されています。
HP上に書式の例なども紹介されているので、参考にしてみましょう。
DIY型賃貸借の内容を双方が把握
ここでご紹介したように、DIY型賃貸借であっても入居者がどこをいじっても自由というわけにはいきません。
躯体の強度や耐久性にかかわる部分など、触ってはいけない部分もあります。
これらの基本的な知識を、借主と貸主の双方が事前に把握しておくと安心です。
DIY型賃貸借をするなら、契約の前に国土交通省のガイドブック「DIY型賃貸借のすすめ」に目を通しておきましょう。
同じものを借主にも渡して目を通してもらうと、契約に関する内容も把握してもらいやすくなります。
まとめ
空き家は傷んでいることが多いので、「リフォームをしないと賃貸に出せない」と思い込んでいる方が少なくありません。
しかしDIY型賃貸借という形態なら、現状のままでも入居者が見つかる可能性が高まります。
ただし、トラブルに巻き込まれないよう事前に一定の知識を身につけておきましょう。
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