空き家の名義を変更するための流れまとめ

空き家の相続

売却や賃貸、解体工事。

いずれの方法をとるにしても、空き家を活用するためには名義変更の手続きが必要です。

不動産の名義変更は、正確にいうと「所有権移転登記」という手続きになります。

「不動産の登記」などといわれると、難しく感じる方も多いかもしれませんね。

ケースによって異なりますが、実際の手続きはそれほど難しいものではありません。

そこでこちらでは、空き家の名義を変更するための流れをわかりやすくご紹介していきます。

流れを把握して必要な手続きをスムーズに進め、空き家をしっかりと活用しましょう。

登記の変更に必要な書類の作成

不動産の名義変更に必要な書類の種類は、その不動産を手に入れた経緯によって変わってきます。

空き家の場合、通常は相続もしくは贈与になると思われます。

そこで、ここではこの2つについてご紹介していきましょう。

いずれの場合も登記申請書は、法務省の「新不動産登記法の施行に伴う登記申請書等の様式について」からダウンロードできます。

記載例を参考にしながら、作成していきます。

当然ですが、鉛筆やフリクションボールペンなどの消える筆記具は使用できません。

パソコンでワードファイルへ入力するか、黒色のボールペンによって記載してください。

司法書士に手続きを依頼する場合は、本人確認書類(運転免許証のコピーなど)や委任状の提出が必要になります。

相続の場合

相続にともなう名義変更の場合、次の書類が必要になります。「被相続人」とは、亡くなった人のことです。

登記申請書
被相続人の戸籍謄本、除籍謄本 出生時から死亡時までの経過がわかるもの
被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票) 登記簿上の住所および本籍地の記載があるもの
相続人の戸籍謄抄本 法定相続人全員分。被相続人の死亡日以降の日付。
相続人の住民票 新たに名義人となる人全員分のもので、マイナンバーの記載がないもの
固定資産評価証明書 名義変更を実行する年度のもの
相続関係説明図 戸籍謄本などの原本を還付してもらうために必要

添付書類は原則として原本の提出を求められます。

ただし「相続関係説明図」を添付すれば、一部の書類の原本を返してもらうことができます。

この場合、コピーに所定の文言を記載するなどの必要があるので、注意事項をしっかりと確認してください。

また、ケースによっては次の書類も用意しなければなりません。

遺産分割協議書 法定相続分以外で名義変更する場合
印鑑証明書 法定相続分以外で名義変更する場合
遺言書、検認調書 遺言がある場合(公正証書以外の場合は検認が必要)
不在籍証明書、不在住証明書 必要書類が揃わない場合など
登記済権利証 必要書類が揃わない場合など
上申書 必要書類が揃わない場合など(印鑑証明書も添付)

続から時間が経てば経つほど、書類を揃えることが難しくなります。

相続登記はいつまでにしなければならないという決まりはありませんが、早めに手続きを終わらせておくと安心です。

贈与の場合

贈与(生前贈与など)に伴う名義変更では、次の書類が必要になります。

「贈与者」がもとの持ち主で、「受贈者」が新たな名義人です。

登記申請書
贈与者の登記識別情報通知(登記済権利証) 対象となる不動産のもの
贈与者の印鑑証明書 発行から3か月以内のもの
受贈者の住民票 期限は特になし
固定資産評価証明書 名義変更を実行する年度のもの
贈与契約書、贈与証書 贈与の事実を証明する書類

このように、生前贈与であればそれほど多くの書類が必要ありません。

手続きの負担という面では、メリットが大きいといえます。

登記所への提出

必要な書類が準備できたら、それらを法務局(登記所)に提出しましょう。

提出先は、対象の不動産の所在地を管轄する法務局です。

書類を提出するには、「直接持参する」「郵送する」「オンラインで申請する」という3つの方法があります。

オンライン申請には電子署名が必要なので、事前登録がなければ手続きできません。

司法書士事務所の多くは、オンライン申請を利用しています。

添付書類の原本は、後日郵送によって提出します。

個人で手続きする場合は、持参もしくは郵送で手続きしてください。

登記所での審査

書類を提出すると、法務局で書類の内容が審査されます。

提出後、1~2週間すると審査が完了。

名義が変更された登記事項証明書(謄本)や登記識別情報(権利証)の取得が可能となります。

審査にかかる時間は、オンライン申請のほうが短くなります。

登記識別情報は大切に保管を

登記識別情報には、登記所が無作為に選んだ12桁の英数字が付与されています。

「この番号を知っていること=不動産の権利者」と判断されるので、この情報は大切に保管しなければなりません。

通知の書式には目隠しシールが貼ってあるので、そのまま保管しましょう。

この目隠しシールは、一度剥がすと貼り直せません。

まとめ

ここでご紹介したように、空き家の名義を変更するための手続き自体は、決して難しくありません。

ただ、自分で手続きする場合は法務局が開いている平日の昼間に時間を取る必要があります。

また、高齢の方が亡くなった場合は古い戸籍謄本の調査が必要になることも。

書類の調査が困難な場合などは、司法書士に相談して見積もりを取ってみましょう。

相続や贈与によるトラブルが起こらないよう、事前に関係者で話し合っておくことも大切です。

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