建物の基礎にヒビが入っているのを見つけると、「大丈夫かな?」と不安に思うかもしれませんね。
リフォーム会社の中には自宅を訪問し、「基礎にヒビが入っているので、すぐに修理しなければいけません」とむやみに不安をあおる業者も存在します。
日本は地震大国なので、建物を支える基礎の状態は確かにとても重要です。
ただし、ヒビの種類によってはそこまで深刻な問題にならない場合も。
危険なヒビとそうでないヒビは、何が違うのでしょうか? ご紹介していきます。
基礎に出てくるひび割れの種類まとめ
基礎にあらわれるヒビは、次の2種類に分けられます。
特徴を知っていれば、比較的かんたんに見分けることが可能です。
ヘアークラック
基礎だけに限らず、外壁などの素材の表面にみられるヒビです。
髪の毛のように細いことからこう呼ばれるようになりました。
ヘアークラックには、次のような特徴があります。
- 主に縦方向に伸びている
- 薄い紙が入らない程度の細いヒビ(幅0.3mm以下)
- 基礎の途中でヒビが終わっている
ヘアークラックはコンクリートの乾燥・収縮から生じる症状です。
コンクリートという素材の性質上、一定量のヘアークラックはあるものと考えましょう。
ただし、ヘアークラックであってもあまりに多く入っている場合は注意が必要です。
基礎の幅1mあたりに3か所以上のヘアークラックが生じている場合、地盤もしくは施工上の問題である可能性が。
専門家に調査を依頼し、対処法を検討する必要があるかもしれません。
それほど数が多くなければ、構造上の問題が原因ではないと考えてよいでしょう。
構造クラック
「構造クラック」とは構造上の問題が原因で発生するヒビで、「応力クラック」とも呼ばれます。
補強工事済みのものも含め、強度の高い地盤に正しく施工された基礎なら、少々の地震などでは構造クラックが入ることはありません。
これが見られる場合、地盤の強度やコンクリートの鉄筋不足など、何らかの問題が潜んでいると考えられます。
構造クラックの特徴は、次の通りです。
- 0.3mm以上の幅がある
- 地面に対して垂直ではなく、水平に入っているヒビがある
- 基礎の高さ(端)までヒビが入っている
幅が狭くても、ヒビの向きが水平方向である場合は注意が必要です。
建物の荷重は常に垂直方向にかかっています。
そのため、基本的にコンクリートの収縮によるヘアークラックは垂直方向にしか入りません。
水平方向のヒビは、構造クラックである可能性が高くなります。
危険なひび割れは構造クラック!それにより引き起こされる問題
構造クラックが入る原因は、次のようなものです。
- 地盤の強度不足
- 荷重の集中
- 荷重強度不足
- 基礎コンクリートの施工不良
建物が建築基準法にのっとって正しく施工されていれば、基本的に構造クラックは入りません。
つまり原因が何であっても、構造クラックが入っているということは、建物の強度が建築基準法の基準に達していない可能性があるのです。
そのままでは、大きな地震などの災害に耐えられない可能性も。
また、幅0.3mmを超えるようなヒビを放置していると、やがてそこから雨水が浸入します。
基礎の鉄筋を錆びさせ、建物の強度をさらに損なう原因になるかもしれません。
構造クラックを見つけたら、早めの検査を
構造クラックが入っているということは、構造に何らかの問題があるサインです。
日本は地震の多い国なので、いつ大きな地震がきても不思議ではありません。
早めに専門家の検査を受け、原因を特定しましょう。
ヒビを放置していると、雨水の浸入による劣化の原因にもなります。
エポキシ樹脂の注入によって雨水の浸入を止める工事は比較的かんたんに行えます。
原因の特定と併せ、早めの補修を心がけましょう。
まとめ
基礎にヒビが入っていても、リスクの高さはヒビの種類によって違ってくるということがご理解いただけたでしょうか?
建物を支える基礎の部分は、構造上大切な役割を果たしています。
ヒビの幅を判断するための「クラックスケール」は、ホームセンターなどで手軽に手に入ります。
気になるヒビがある方は、まず自分で幅を測ってみましょう。
構造クラックの疑いがある場合は、ホームインスペクター(住宅診断士)などの専門家に相談することをおすすめします。
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