【メリット多数】適合リノベーション住宅を知っていますか?
既存の住宅に大規模なリフォーム工事を行い、新たな価値をプラスした「リノベーション住宅」。
新築、中古に次ぐ新たな選択肢として、近年注目を集めています。
リノベーション住宅はもともと中古物件なので、新築と比べて取得費用が抑えられます。
近年の人気の高まりを受け、デザイン性の高い工事を行う業者も増えてきました。
その一方で施工ミスや建物の機能不全などによる、トラブルも少なくありません。
そんな現状を受け、一般社団法人リノベーション住宅推進協議会は「適合リノベーション住宅」という規格を定めました。
安心してリノベーション住宅を選ぶ方法として登場した、適合リノベーション住宅。
具体的にどのような制度で、今後の住宅選びにどのような影響を与えるのかご紹介していきます。
適合リノベーション住宅とは
適合リノベーション住宅とは、(社)リノベーション住宅推進協議会が定めたリノベーション住宅の統一品質規格を満たした住宅です。
規格には建物検査から改修工事・標準書式にのっとった報告・保証書をともなう保証制度・住宅履歴情報の保管までのフローが含まれています。
つまり、工事前に建物の情報を確認して適切に工事を行い、報告書や保証制度が用意され、住宅履歴情報をしっかりと保存した住宅が、適合リノベーション住宅です。
協議会は消費者に安心して既存住宅を選べる市場をつくり出し、既存住宅の流通を活性化することを目的に設立されました。
会員はほとんどが、リノベーション住宅の施工や販売に携る企業です。
2016年7月24日現在で、正会員・賛助会員を合計すると会員数は649社にのぼります。
学識者である大学教授や、住宅関連団体、地方自治体なども特別会員として参加しています。
ひと口にリノベーションといっても、決まった定義はありません。
機能や価値を再生するための包括的な改修を加え、安心して選べるリノベーション住宅だけが「優良」といえます。
適合リノベーション住宅のメリット
中古物件として適合リノベーション住宅を選ぶメリットは、プロが認めた品質の中古物件が手に入ることです。
素人が建物をいくら観察しても、強度や機能、施工状態を客観的に判断することはできません。
住宅の購入では、まとまったお金を支払います。それなのに、不具合がないかどうか不安を抱えたまま住むのは嫌なものです。
実際に、せっかく購入した物件が短い期間で寿命を迎えたり、リノベーションの施工状態に不具合が発覚したりするトラブルは後を絶ちません。
適合リノベーション住宅なら、品質確保と情報開示、保証制度にもとづく安心が付与されています。
住宅履歴を保存していれば、メンテナンス計画が立てやすくなります。
住み始めてすぐに「多額の費用をともなう大規模な修繕工事が必要になった!」といった事態が起こらず、安心です。
売却にも有利な適合リノベーション住宅
ご紹介したように、適合リノベーション住宅には安心を中心としたたくさんのメリットがあります。
これらのメリットは物件を売却したくなったとき、有利に交渉を進める材料にもなります。
条件がそれぞれ異なる、ライバル物件があふれた中古住宅市場。
その中で需要がある物件は、他と違うメリットのある物件です。
安心という価値が付与された適合リノベーション住宅は、十分な差別化が可能な物件といえるでしょう。
つまり適合リノベーション住宅は、安心して購入できて住みやすく、売却もしやすい物件なのです。
適合リノベーション住宅の5つの区分の意味
住宅の品質を検査する際、強度や構造に関する項目は欠かせません。
そのため、物件の種別に応じた検査方法が必要です。
適合リノベーション住宅の統一基準も、対象とする物件の種別によって次の5つの区分にわかれています。
区分 | 物件の種別 |
R1住宅 | 区分所有マンション専有部分 |
R2住宅 | R1住宅プラス共用部分の修繕や管理状況 |
R3住宅 | R1住宅プラス共用部分を含むマンションの一棟全体 |
R4住宅 | 「店舗から住宅へ」など、用途を変更した住宅 |
R5住宅 | 戸建て住宅 |
R1住宅
区分所有マンションの専有部分だけを対象とした規格です。
給排水やガス、電気、浴室防水といった重要なインフラは、施工していない部分も含めて最低2年のアフターサービス保証がついてきます。
R3住宅
区分所有マンションの一棟全体を対象とする規格です。
どれだけ専有部分がきれいに使われていても、建物の躯体そのものが劣化していては安心して住めません。
「マンションの価値は管理で決まる」という言葉があるほど、管理状態は資産価値や安全性に直結します。
R3住宅は構造や劣化状態、維持管理状況を含めて、しっかりと検査や施工をされているので安心です。
R5住宅
戸建て住宅を対象とした規格です。
構造から配管等の設備、劣化状態なども含めて総合的に検査や施工が行われます。
適合リノベーション住宅を手に入れるには
適合リノベーション住宅を手に入れるには、次の2つの方法があります。
- すでに適合リノベーションをすませた物件を購入する
- 既存の住宅やこれから購入する住宅に、適合リノベーションを施す
リノベーション済みの物件を購入する場合は、公式サイトの「適合リノベーション住宅をさがす」というページにアクセスしてみましょう。
建物の種別やエリア、物件価格、専有面積によって、絞り込み検索が可能です。
既存の住宅やこれから購入する住宅に適合リノベーションを施す場合は、協議会の会員企業に依頼します。
ご紹介したように会員企業は500社近く存在するので、いくつかの業者に相談してみましょう。
リノベーション工事には、ある程度まとまった費用がかかります。
施工実績や対応など、さまざまな角度から判断することが大切。
デザインの方向性なども施工実績の写真から確認しておきましょう。
物件を購入する前に相談を
物件によって、建物の強度やリノベーションの自由度が大きく異なることをご存じでしょうか。
まだマンションを購入していない人は、購入前に施工業者に相談することをおすすめします。
先に相談しておけば、「したいと思っていた工事ができなかった!」という失敗がありません。
マンションの購入とリノベーションにかかる費用を総額で把握でき、資金計画が立てやすくなります。
リノベーション工事では、さまざまな部分を施主が自分自身で決定しなければなりません。
注文住宅を建てるときのように、たくさんの打ち合わせが必要です。
購入の仲介から施工までを同じ業者に依頼すれば、これらの打ち合わせも多少ラクに進められます。
まとめ
中古マンションを購入する際、「物件の良し悪しを判断する基準が欲しい」と思ったことのある人は多いと思います。
実は、この規格そのものにこだわる必要はありません。
ただ、規格に定められた検査や保証、住宅履歴の保管などの制度は建物の価値を維持することにつながります。
近年、中古住宅購入前のホームインスペクション(住宅診断)も徐々に浸透してきました。
大切なのは、適合リノベーション住宅の考え方を知ること。
安心して購入できる住宅を判断する際の参考として、その知識を活用してください。
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