古くても人気のヴィンテージマンションはリノベーションできる?
住宅の価値は一般的に築年数が進むにつれて減少していくものです。
しかし、中には建築後何十年も経っているのに価値を維持し続けているマンションも。
- 築年数が経過しているのに、新築時からほとんど値段が変わらない
- 建築から数十年後に、新築時より価格がアップしている
上記のような特徴を持つマンションは、「ヴィンテージマンション」と呼ばれています。
建築から10年以上価値を維持し続けるマンションは、ヴィンテージマンションと呼んでよいでしょう。
再開発が盛んなエリアの中には、築30年以上が経過してなお新築時より価格が上がったマンションも存在します。
ただしいくら人気でも古い建物は設備面やデザイン面で問題があり、そのままでは住みにくいことも。
よって、人気のヴィンテージマンションの内装をリノベーションして住まれている方が多くなっています。
誕生から数十年を経て人々を魅了し続けるヴィンテージマンションには、どのような魅力があるのでしょうか。
また、そのような建物で大規模なリノベーション工事を行う際には、どういった点に注意すればよいのでしょうか。
こちらで詳しくご紹介していきます。
ヴィンテージマンションの持つ魅力
古いマンションはいくらでも存在しますが、そのどれもがヴィンテージマンションというわけではありません。
時を経てなお価値を維持、もしくは向上し続けるマンションには、次のような特徴があります。
立地が良い
東京や大阪などの大都市圏にも、はるか昔は建物がほとんどない時代がありました。
しかし現在では、駅から近いなど人気の立地は建物に埋め尽くされています。
条件がよい立地ほど、なかなか大規模なマンションを建てるだけの広さが確保できません。
早い段階でできたマンションの中には、よりよい立地を早い段階で押さえていたものがあります。
つまり、今であればマンションが建てられないような好立地に建っているマンションには、高い付加価値があるのです。
そのため、なかなか価値が下がりません。
新築物件と比べて住民のコミュニティ形成状況が把握しやすい点も、中古物件のメリット。
高級な物件として、地域のシンボル的存在になっていることも多いようです。
デザイン性が高い
マンションの内装はリノベーション工事でいくらでも変えられます。
しかし外装や共用部のデザインは、自分だけの意思でどうにかできるものではありません。
ヴィンテージマンションと呼ばれる建物の多くは、地域で一番のステータス物件。
外壁はもちろん、エントランスやロビー、廊下、ゲストルームなど、すみずみまでデザインにこだわっています。
設備が随時更新されていることも大切ですが、必要なのは機能性だけではありません。
高級感のある質感やデザインの統一性が大切です。
管理状態が良好
「マンションの価値は管理で決まる」という言葉があることをご存じでしょうか。
ヴィンテージマンションとして人気を維持するマンションは、必ず優れた管理体制を整えています。
外壁が傷んだまま放置されていたり、植栽が伸び放題だったり、自転車がたくさん倒れていたり。
たとえ立地がよかったとしても、そのようなマンションに住みたいとは思いませんよね?
建物のデザイン性が優れていたとしても、そんな状態では目に入らなくなってしまいます。
そのため、マンションの価値を考えるうえで管理が非常に大切となってくるのです。
ヴィンテージマンションの多くは豊かな植栽のすみずみまで手入れが行き届き、ゴミや建物の傷みが放置されていることはありません。
近年のマンションは適切な管理を加えることで、100年にわたって強度が維持できるとも言われます。
しかしひとたびメンテナンスを怠ると、小さなヒビから建物の内部に水が浸入し、躯体まで傷んでしまうことに。
こうなると補修に費用がかかるのはもちろん、建物の寿命自体も縮むことになりかねません。
小さな傷みに対して適切な補修を加えつつ、正しいタイミングで大規模修繕を加える。
そのためには、管理組合による修繕計画や修繕積立金の蓄積、委託先となる管理会社に対するチェックなどが重要となります。
購入時には耐震強度や給排水管をチェック!
立地やデザイン性、管理体制などに優れたヴィンテージマンションを見つけたからといって、すぐに飛びついてはいけません。
購入を決断する前に、必ず建物の耐震強度や給排水管の状態をチェックしてください。
耐震強度は、新生活を安心して送るために欠かせない要素です。
特に1981年に改正される以前の旧耐震基準で建てられているマンションは、耐震補強工事を行ってあるか調べましょう。
改正時点で建築確認を取得済みだった建物の場合、改正施行後に竣工しても旧耐震基準が適用されています。注意してください。
そうでない場合は、有料の「住宅性能表示制度」を利用して耐震強度をプロの目によって調べてもらうことをおススメします。
全国に評価機関があり、耐震強度だけでなく維持管理更新への配慮や火災時の安全性など、複数の項目にわたって調べてもらえるので安心です。
また、昔のマンションは給排水管が建物躯体のコンクリートに埋め込まれていました。
その状態だと、リフォームやリノベーション工事による取り換えが基本的にできません。
工事の際は古い管をそのまま残し、廊下の天井付近などに這わせるといった手法をとることに。
手間がかかって見た目も損なわれるため、建物の強度が維持できているマンションが、給排水管の寿命を理由にいくつも取り壊されてきました。
パイプスペース(PS)と呼ばれる空間が設けられているマンションなら、給排水管の工事も行えるようになっています。
自分だけで判断せず、プロに相談を
パイプスペースの位置や状態によっては、水周り設備の位置が制限されたり天井高や床の高さが変わってきたりして、希望のリノベーション工事が実現できません。
工事を依頼する業者に希望の工事内容を伝え、実現可能かどうか建物をチェックしてもらいましょう。
中古マンションの中には、「スケルトンインフィル(SI)マンション」と呼ばれるような、内装と躯体がきっちりと分けられている建物もあります。
この場合は、基本的に工事内容に制約がありません。
ただし一部のスケルトンインフィルマンションは、若干の制約が設けられているので、やはり一度相談しておいたほうが無難です。
まとめ
こちらではヴィンテージマンションの人気のヒミツや、リノベーション工事における注意点をお伝えしました。
このようにヴィンテージマンションは、新築マンションとひと味異なるたくさんの魅力を備えています。
ただし、建物によっては希望通りの工事ができない可能性もあるので注意が必要です。
購入に踏み切る前にヴィンテージマンションならではのポイントをしっかりとチェックし、理想の住まいを手に入れましょう。
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